目次
はじめに
先日アメリカのダンスマガジンにこのような記事が掲載され、大炎上しました。
「コンテンポラリーダンスクラスはダンサーの身体に悪い?」という内容の記事です。
賛否両論あり、様々な意見が飛び交っています。
しかしまずはじめにはっきりさせたいことは、この記事はダンスマガジンが話題性を出すためにわざとこのような書き方をしているのだろう、という裏側も見えるということです。
正直、コンテンポラリーダンサーに対して非常に失礼な内容になっています。
ではその詳細を検証していきます。
モダンダンスとコンテンポラリーダンスを一緒にしている
まずこの記事の内容ですが、モダンダンスとコンテンポラリーダンスの違いを全くわかっていません。
モダンダンスは今から80年ほど前にイサドラ・ダンカンやマーサ・グラハムにより作られたバレエのルールを崩すことで生み出されたダンスです。
バレエが一番美しいダンスという先入観を壊し、他にも面白い表現の仕方があるということで新たな「形」を生み出すことに主眼が置かれています。
モダンダンスは身体に悪い?
「形」のみにこだわっていたため体の正しい動かし方などが研究されておらず、実際ダンサーの身体には悪いテクニックもたくさんありました。
特にホートンテクニックなどは解剖学的にも間違っていると指摘されており、アメリカのトップダンスカンパニーの1つであるComplexions Contemporary Ballet のダンサーなどはホートンは間違ってるからやるな!と豪語していました。
実際、ホートンテクニックの有名なダンスカンパニーAlvin Aileyのカンパニーダンサーは歳をとってから踊り続けている人は珍しく、みんな体を壊して踊るのをやめています。
より新しい試みから作られたコンテンポラリーダンス
このようなモダンダンスよりも後に近年になって作られたさらに新しいダンスがコンテンポラリーダンスです。
コンテンポラリーダンスでは怪我の多いモダンダンスの先例から学び、解剖学などもよく研究されてモダンダンスのような「形」よりも「動き」のほうに主眼が置かれています。
動きと動きをつなぐことで、より滑らかで身体に負担のない動きが生み出されていっています。
そのためモダンダンスとは全く違う踊りに発展していったため、コンテンポラリーという新しい言葉が使われるようになっていきました。
有名な振付家ではカナダのCrystal PiteやイギリスのHofeshがいます。
このようにコンテンポラリーはダンサーのことを考え解剖学からも研究されています。
それを昔のモダンダンスとの区別もつけられない古い人間が身体に悪いと書いているのが今回の記事です。
なんとも残念な話です。
アメリカの考えは遅れている
コンテンポラリーは芸術に対して先入観のないヨーロッパやカナダの方が発展しており、自分たちの文化であるモダンダンスを主張し続ける人の多いアメリカでは数十年遅れをとっています。
実際この記事の中でインタビューを受けているジェニファー・マーラーはかなり古い振付家でモダンダンスの歴史の一角を担う人です。
残念なのは彼女自身、モダンダンスとコンテンポラリーを一緒だと思っていることです。
この時代の人にはよくあることで、自分たちが築いたものが最も新しいものだと信じ続け、そのあとの世代が築くものを認めようとも学ぼうともしないんですね。
ダンスで金を稼ぎたい人とダンスが好きで踊る人
この記事でもう1つ炎上の原因になっているのがこの文章。
「ダンスの世界でお金を回してるのはジャズ、バレエ、タップ、ヒップホップなどでコンテンポラリーは必要ない。」
と言ってしまっている部分です。
この考えで踊る人はダンスが好きで踊ってるのとダンスでお金を稼ぐのが好きで踊ってるのとどちらなのでしょうか?
コンテンポラリーは踊ることが本当に好きな人が多い
人生観の違いが大きく出る部分です。
実はコンテンポラリーダンサーには踊ること自体が人生の目的という人が多いです。
世の中で一番楽しいことはダンスを突き詰めて自分の踊りをさらなる高みへ持っていくこと、それにより面白い舞台作品を作ることです。
お金を稼ぐこと、食べること、寝ることなど、それ以外の人生はすべてそのための手段にすぎません。
ましてやメディアで有名になるための踊りなんてバカにしています。
わかりやすくいえば修行者が悟りを開く修行の過程なのです。
多くの人が金持ちになることにも興味はありません。
だってお金を使ってできる様々なことより踊ることの方に興味があるわけなんですから。
ダンスをするのにお金はそんなにいらない
そう聞くと多くの人が言うのが「生きていくのにお金は必要じゃん」ということです。
その通り、生きていくのにお金は必要です。
しかし実際生きていくのにどれくらいお金が必要ですか?
家賃、食費、交通費など、、、実はそういう最低限必要なお金ってせいぜい月10万円ぐらいなんですよ。
それぐらいなら教えで稼げます。
ダンスの教えで稼げないならフィットネスやヨガなど、自分のトレーニングの役にも立つことを教えればいいわけです。
さらに言えば今のご時世パソコンで稼ぐ方法を覚えれば月20万ぐらい稼げてしまいます。
プログラミングや翻訳、投資など。
こういうとまた「そんな難しい仕事できるわけない」という人がよくいます。
しかし、そういう人たち実際勉強してみたことありますか?
やろうとすれば実際はできてしまうものなん、「難しいからできない」が先入観なんです。
要は難しいからできない人が多いのでなく、挑戦する努力をする人が少ないんです。
実際アメリカのダンサーには副業で弁護士やIT関係の時間の自由がきく仕事をしている人がたくさんいます。
金のためにつまらない踊りを踊るぐらいなら、そういう副業で稼いで自分のやりたい踊りだけをやる方がよっぽどストレスがないというわけです。
この考え方はお金を稼ぐこと、有名になることが人生の成功というメディアの洗脳を信じている人からは理解できない話かもしれませんが。
まとめ
以上のように私もこの記事に対しては完璧に反対派です。
しかしダンスマガジンのこの記事はコンテンポラリーダンスのことをわかってない人による無礼な記事だと言わざるを得ません。
とはいえあからさまに炎上するような内容になっているので、これらのことをわかってわざと書いているのかもしれません。
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