一斉を風靡したダンスカンパニー・コンプレクションズコンテンポラリーバレエの現在〜Complexions contemorary balletが衰退してきている理由〜

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はじめに

アメリカで1994年に創設されたダンスカンパニー・コンプレクションコンテンポラリーバレエ(Complexions contemorary ballet)。

当時のアメリカ中のバレエ団のプリンシパルレベルをスカウトして結成されたドリームチームのようなカンパニーで、一世を風靡しました。

私が渡米した2007−9年ごろではアメリカのトップダンスカンパニーはアメリカのショースタイルのアート作品をするコンプレクションズとヨーロッパ系のアーティスティックな演出をするシダーレイクコンテンポラリーバレエCedar Lake contemporary ballet がアメリカのダンスカンパニーの2トップという印象でした。

そのコンプレクションズの現在の様子をお伝えします。

コンプレクションズの歴史

ドワイト・リョーデンとデスモンド・リチャードソンの二人によって創設され、当時アメリカのモダンダンスのトップとして知られていたアルヴィン・エイリーダンスシアターをも追い抜くほどの人気となりました。

デスモンドはカンパニーのトップダンサーとして踊り続けてきたので、表舞台にでることから知名度も高く、現在でもメディアでよく姿を見ます。

しかしコンプレクションズの作品のほとんどはドワイトによるものなので、コンプレクションズのブレイク自体はドワイトの振り付けと経営手腕によるものと言えます。

その人気から寄付金も集まり、それによってアメリカ中のトップバレエ団からプリンシパルを引き抜くということを可能にしていました。

プリンシパルをひきぬけるなんて、どれほどの財力を有していたのでしょうか。

現在のコンプレクションズ

そのコンプレクションズの現在ですが、残念ながらかなり縮小気味です。

その理由は大きく分けて3つです。

アメリカ自体がアートに出資しなくなってきている

アメリカは日本と同じで芸術に対する国のサポートプログラムがあまりありません。

それでもなぜプロのダンスカンパニーができるのか?というと、アメリカには娯楽として芸術を鑑賞する文化があり、富裕層がそこに投資することを楽しむという遊び方がありました。

富裕層はダンスカンパニーに出資してその成長を見ていることを自分の子供を育てるような感覚で楽しんでいました。

しかしその世代が近年では交代してきており、新しい世代では芸術に投資する習慣のない人々の時代になってきています。

そのため多くのダンスカンパニーや劇場が潰れるという自体が起こっています。

コンプレクションズもその影響が大きく、もはや当時のようにプリンシパルを引き抜くということができない状態のようです。

パフォーマンスがハードすぎると噂に

コンプレクションズはその身体能力の凄さで有名になったカンパニーです。

舞台の上では信じられないぐらいの強靭なダンサーが踊り続けます。

しかしやはりそのパフォーマンスはかなりきついらしく、ダンサーの間でコンプレクションはハードすぎて体を壊すという噂が広まってしまいました。

なので良いダンサーが入団することを敬遠しぎちになってしまったようです。

デスモンドの引退

創設以来トップで踊ってきたトップダンサーのデスモンドですが、近年ではカンパニーとともに踊る一線からは身を引いています。

とはいえもう50近いのに最近まであの振り付けを踊り続けてきたんですから、すごいことです。

しかしあれほどのカリスマ性を持った彼が舞台で見れないことで観客や出資者は離れてしまうでしょう。

それでも身体能力がすごいコンプレクションズ

このように縮小気味ですが、2017年時点でのコンプレクションズの公演を観に行きましたところ、やはり身体能力はすごいです。

個人的には見せる部分が身体能力だけで作品自体のメッセージが薄いというか安っぽい印象も昔からあるのですが、そこは個人の趣味ですよね。

しかしこれでも昔を知ってる人から見るとテクニックは落ちているそうです。

まとめ

数年前になりますが、2トップのもう1つのシダーレイクコンテンポラリーバレエもスポンサーが離れてしまい、倒産してしまいました。

そこに入ることは若手のダンサーみんなの夢だっただけに非常に残念な思いです。

この2つ以上のカンパニーはアメリカではいまだに出てきていません。

アルヴィンエイリーなど伝統的なカンパニーももはや踊りが古いので今の若手のダンサーには人気がありません。

アートに対するサポートのあるヨーロッパの方に行けばHofesh、Netherlands Dance Theater など、すごいカンパニーはまだまだあるのですが。

アメリカでのアートに対する支援の削減の影響が大きくでていることを感じざるを得ません、非常に残念なことです。

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